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同じ轍を踏まない

by Tomohiro OYA

お世話になっているレコーディングスタジオの近所にできた香港スタイルの飲食店「正記冰室」(ジェォンゲイピンサッ)が開店からたったの4ヶ月弱で閉店した。美味しいお店だったのでがっかりだ。

以前その場所にあった中華料理店はどうしようもなく不味くて、会計するときに”こんなまずいモノ初めて食った。あなた達は自分たちの作ったものを食べてたことがあるのか?”と問い詰めてしまったくらいのお店だったので新規開店には喜んだ。けれどその”どうしようもなく不味い店”よりも格段に美味しくスタイリッシュで香港でも有名というそのお店は半年ともたなかった。

街を見ていると入れ替わりの激しい店舗は大概同じ場所だ。身近では代々木上原、井の頭通り沿いの某所にもう何件目だろう?という場所がある。最近また店が入れ替わったが今度は続くのか。以前、Barを経営している知人が”立地が悪けりゃどうしようもない”と話してくれた。彼のお店は駅の近く、しかも駅への一番太い導線沿いのビルにある。”色々あるけれど立地は基本。ここが見つからなきゃやらなかったよ”と言われた。

頻繁にお店が入れ替わるということは”そこ”には何か問題があるのだろう。立地なのか家賃なのか面積なのかはたまた縁起が悪い土地のか、それはわからないけれど色んな種類のお店が入れ替わりたち立ち代わりしていくのだからなにか理由があるに違いない。それでも次から次へと店舗が入るのは何故だろう。不動産屋さんの営業さんがよほど優秀なのか?

きっと経営者には自信があるのだろうな。あの駅のあの場所だったら絶対イケる。前の店?そりゃああんな店じゃ駄目だよ、あんな種類じゃあ、あんな価格じゃあ、あんなデザインじゃあ、あんなメニューじゃあ、あんなあんなあんな・・・。でも調べれば分かる。そこはもう何軒も店が入れ替わっている、最近特に頻繁だ。一人じゃない、何人もがそこで失敗している。それこそが客観的事実だ。そこで”オレだけ”が成功する確率はゼロじゃないけど・・・。それでも”その場所”に出店する。なにに魅入られるのか。

客観的事実は時に冷徹だ。夢や希望を簡単に打ち砕く。思惑と違う客観的事実は時に”ネガティブ思考”と混同される。夢や希望は勝手にどんどん膨らんでいってしまう。それはポジティブな思考なのか?そいつは”妄想”なのかもしれない。”同じ轍を踏まない”ということわざがある。今更のように聞こえるけど難しいんだ、これ。同じ轍を”踏む”どころか拠り所のようにハマりに行っている自分がいたりするからね。


Tomohiro OYA
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