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守衛は机をドンドンと叩いた

by Tomohiro OYA

このところ使っていたスタジオは大きなビルの中にあってセキュリティーや規則がなかなか厳しい。一定時間を過ぎたり休日は特定の人しかドアの開閉ができない。昨晩、作業が終わった我々は完パケの達成感をうっすら感じながら一度ビルを出て少し離れたコインパーキングから車を出して搬出へビルに戻ってきた。ところが、中の人に電話が通じない。最初は電話中かな?とかお腹痛くてトイレかな?とか思ったけれど15分たってもコールするだけ。時間は午前3時15分。だんだん疲れが出てきて早く帰りたいなあという気持ちも出てくるがそれとともに”中の人になにかあったんじゃないだろうか?”という気持ちがふつふつと湧いてくる。何しろレコーディング最終日の三時過ぎ。疲れがどっと出てもしや・・・・・。であればいっときを争う場合だってある。守衛室がフレンドリーじゃないのは知っていたがここは怯んでいる場合ではないと判断。

オレ:すみません。

守衛:なんなんですか!?(最初からネガティブ)*まあ午前三時半だからしょうがないか

オレ:中の人と連絡が取れなくなってしまったんです。***の方なんですけど。

守衛:私に言われてもねえ。

オレ:一旦外に出て戻ってきたら電話するように言われてるんですが、もう20分も連絡が取れないんです。倒れているんじゃないかと心配なので*階を見てきていただくことは出来ませんか?

守衛:私一人なんですよ。だからここを離れるわけには行きません!(何故かすでに半ギレ)

オレ:電話することも出来ませんか?

守衛:できません。ここからは電話できません、しません!!

オレ:とても心配なんです。この時間に20分音信不通ですよ、電話をくださいと中の人が言ったにもかかわらず。何かあったかもしれない。なんとかなりませんか?

守衛:あなたは***の方なんですか(with怒気)

オレ:***、の関係者です。

守衛:***の社員じゃない方がなんでここにいるんですか(怒気怒気)。

オレ:・・・・(この人、社会に出たことあるのか??こりゃ話にならんかもな)。

同行者:***の関係者で中で仕事してたんです。

守衛:なんで外に出なきゃならないんですか(怒気怒気怒気)

同行者:クルマに荷物を取りに行くのに外に出たんです。心配してるんでどうにかなりませんか?

守衛:私は一人しかいないんですよ。離れられません!

なるほど。初老の守衛さん、職務に忠実だ。まあ、それはそれで大切なことだ。もう少し聞いてみたくなった。

オレ:守衛さん、離れられないのもよくわかります。守衛さんが一人でここを離れられない、そうでしょう。ただ、もしかしたらこのビルで一人の人が倒れているかもしれない。もしものことがあるかもしれない。そう思いませんか。それと職務とは別だと思いますけど、どうです?なにか方法はないですか?

守衛:ここには一人しかいないんですよ。離れられません、私には出来ないんです。DONG!DONG!DONG!!!(テーブルを思い切り叩いた)。

なんと情熱的なボディ・ランゲージ!そして

守衛:何回も電話してください!!

とクールに言って守衛さんは”ぷいっ!”と奥に引っ込んだ。

その後、行き違いで連絡が取れなかった中の方と連絡が取れて無事が確認!搬出して帰宅。多少時間はかかったが守衛さんの責務は完遂され、我々も帰途につくことが出来た。中の人も無事だった。そして何より甘味な猛毒的素晴らしい作品が完パケした。めでたしめでたし。

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